勇壮果敢に天に向かって上昇する竜の如く

前回の続きです。

 

それからというもの、娘さんは毎日毎日きちんとあいさつをして寺へあがり、仏様のお花の水をかえたり、寺の中をはいたり、ふいたりきれいにするようになったんやと。

 

それが終わると、坊さんと娘さんは、「龍のお子が天に帰ることがかないますよう、御仏のお力をお貸しくだされ」「天に帰ることができますように。一日も早う、天の母上にあえますように」と一生懸命お参りをされたんや。そして九十九日目の朝。坊さんは、娘さんに言わはった。

「長い間、ようお勤めをされた。明日はいよいよ満願の日。必ずや天に帰れよう」
娘は、涙を浮かべて頭を下げて、

 

「ありがとうございます。何のお返しもできませぬが、このうろこと桜の種をさしあげます。もし、何日も雨が降らぬようなことがありましたときには、このうろこを持って山へ登り、天に向かって『雨をたもれ』と叫んでくだされ。きっと雨を降らせてみせましょう」

 

と言って、三枚のウロコと桜の種をおいて姿を消した。

いよいよ百日目の夜のことや。急に黒い雲が出てきてな、ザァザァと、大粒の雨が降ってきた。その中を、大きな大きな龍がな、火をふきながら天へ登っていったのや。
このとき、龍の鳴き声が山という山に響いてな、錫杖ケ岳(しゃくじょうがだけ)の土もいっしょに吹き飛んでしもうたんで、山の上は岩だらけになってしもうたんやて。
それから何年かしてな、雨が降らんで、稲が枯れて水のことでけんかがおこったんや。
そこで、坊さんは、「このうろこを持って、錫杖ケ岳で雨乞いをするんや」と言うて、村人といっしょにカラッカラッに乾いた山道を登っていってな、「雨たもれ、雨たもれ」と一生懸命にお祈りなさったんや。

すると、みなの気持ちが天に届いたんやろか、その日の夕方、雨雲が空に広がって、大粒の雨が降ってきてな、村人はみんな大喜びしたんやて。

 

そうそう、龍がうろこといっしょに残した桜の種はな、お堂の前で大きいなって、今でもきれいなお花を咲かせとるげな。

龍が残していったといわれる龍王桜は、フゲンザクラと呼ばれる種類で、三重県の天然記念物にも指定されている。錫杖ケ湖へ続く道沿いに位置する長徳寺は、桜の頃はもちろん、春秋の季節の良い時期には、境内を散策する人々で賑わっている。

 

また、龍の鳴き声で、土が吹き飛んでしまったといわれる錫杖ケ岳のふもとは、今ではダム湖になっていて、湖の周辺には桜が植樹されており、こちらも花の盛りには多くの観光客が訪れている。

 

三重県に伝わる「 龍 」 の民話をご紹介いたしました。

心新たにして、誠実な思いと感謝の気持ちを大切に

心新たにして、誠実な思いと感謝の気持ちを大切にして、勇壮果敢に天に向かって上昇する竜の如くスタートダッシュで勢いよく新年のスタートを切って下さい。


今年もアウル通信、どうぞよろしくお願いいたします!